
マウスピース矯正とは、透明なプラスチック製のマウスピースを用いて歯並びを矯正する方法です。装置自体が透明なので装着しても目立ちにくく、取り外しできるため食事や歯磨きが普段と変わらず行えます。また、装置の洗浄が簡単なため衛生的です。
従来の矯正装置との比較
従来の矯正では、ワイヤーを用いて徐々に歯を動かしますが、マウスピース矯正では、定期的に新しいマウスピースを交換しながら徐々に歯を動かします。ワイヤーを用いた矯正と比べて痛みや違和感を感じにくく、取り外し可能なため無理なく食事や歯磨きが行え、矯正装置やワイヤーによる口内炎などの問題にも影響されにくいです。また、矯正装置自体が透明なので治療中であることが周囲に気づかれにくく、歯並びを整えることができます。さらに、金属を使用しないため、金属アレルギーの方も矯正治療を行うことが可能です。ひとつのマウスピースによる移動距離が制限されているため、歯への負担がワイヤー矯正に比べて少なく、安全な歯の移動が出来ることもポイントです。
当院では、前歯中心の比較的軽度な症状で悩まれている方に有効なインビザラインGoというマウスピース矯正装置を導入しております。現在、インビザラインGoには改良が加えられ第一大臼歯~第一大臼歯までが矯正の対象となり、より多くの症例に対応できるようになっております。
インビザラインGoは、全ての症例が対象となるわけではありませんが、従来のインビザラインに比べて費用と期間を抑えられます。しかし、抜歯が必要な症例など難症例に関しては、基本的に従来のワイヤー矯正をお勧めしております。
インビザラインGoのメリット
・費用を圧倒的に抑えられる
・治療期間が短い(最短2ヶ月ほど)
・マウスピース枚数が少なく手軽(最大26個)
インビザラインGoのデメリット
・奥歯の矯正に関しては限定的
・原則、抜歯症例には不向き
ワイヤー矯正が向いている症例がある一方、インビザラインを用いることで、今までは抜歯が必要な反対咬合症例など、非抜歯で矯正できることに驚いたりもするものです。
当院では平成の時代まではワイヤー矯正一本でしたが、現在矯正症例の約8割がインビザラインになりました。
マウスピース矯正は、見た目に配慮しつつ快適な治療を希望する方にとって非常に有効な選択肢です。歯並びでお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
【治療前】
転倒してしまい、右上1(中切歯)の唇側がひどく腫れて来院されました。
写真では分かりにくいですが、右上の1番(中切歯)の唇側に骨に至るほどの破折が確認できました。
写真からは生活歯ですし、どうしようか悩みました。
【治療中】
とりあえずは抜髄せず、生活歯のまま、ヒビの最深部が歯周ポケット内に現れてくるまで、部分矯正で挺出を試みました。
【治療中】
4mmほど挺出させたところで腫れが消失して、歯髄も生活歯のままであることが確認できました。
一度挺出を始めると早いもので、数週間で部分矯正は終了です。
【治療後】
最終補綴物が装着されたところです。
植わっている歯根の長さは短くなりましたが、日常的には問題ありません。
歯髄も守られましたし、何より白黒がはっきりとした無病である状態に持って行くのが大切です。
【治療期間】約3ヶ月
【治療費】約25万円
【一般的なリスクや副作用】急速な挺出を行うと、せっかくの生活歯が失活してしまう可能性があるので、慎重な挺出が必要です。
抜髄、あわよくば抜歯になりそうなケースも、部分矯正を用いることで健全な状態に補綴することが出来ました。
【治療前】
右上6番(第1大臼歯)の3根の内の1本だけが残存して5番(第2小臼歯)にぶつかってしまっています。
このままだと接触点が上手く磨けないため、5番までが虫歯になってしまいます。
通常ならこのまま抜歯で、抜歯後をどうするかという相談になるかと思いますが、6番(第1大臼歯)の3根中、2根ないし1根だけでも補綴治療をして温存している症例があるのも事実です。
【治療中】
特殊な部分矯正装置を用いて、アップライト(引き起こし)を試みました。
【治療後】
無事引き起こすことが出来ました。治療期間は約2ヶ月です。
後戻りを防ぐため、仮歯で一定期間様子を見つつ、最終補綴物を入れることが出来、現在も良好に使用されています。
【治療期間】約3ヶ月
【治療費】約25万円
【一般的なリスクや副作用】3根中の1根のみの残存だったので、どれぐらい持つか不安要素もありましたが、もう10年以上経過していますが動揺等も見られず健康に機能しています。
安易な抜歯は致しません。使える歯は可能な限り使いましょう。
【治療前】
左下5番(第2小臼歯)がコアごと脱離してきて、カリエスを除去したところ、ほぼ骨のレベルに至る残根となりました。
このままでは適切な補綴処置が出来ません。無理やりコアを立てて補綴すると、歯肉の慢性炎症を起こすだけでなく、近い将来歯根破折を起こし抜歯になることが予想されます。ちなみに骨のレベルから5mmほど歯冠方向に残根が存在すれば予後良好な補綴物が入れられます。
6番(第1大臼歯)にインプラントが入っているのもあり、ご本人はインプラントにして欲しいとのことでしたが、歯根長も十分にあるので矯正的挺出をご提案しました。
【治療中】
部分矯正で挺出しているところです。歯痕には?マークのようなフックを固定。34(犬歯、第1小臼歯)から伸ばしたワイヤーにリングを設置し、フックからリングを通して、3番(犬歯)のボタンに矯正ゴムを掛けています。
挺出は期間も短く、2週間に一度、ゴムを2回ほど交換して約1か月。
【治療後】
無事挺出が完了しました。骨のレベルから5mm程度の歯根があるのが分かります。
これならファイバーでコアを築造しても、横揺れに強い、つまり折れにくい最終補綴物を入れることが出来ます。
ちなみに当院では、コアの築造はほぼ100%ファイバーで行います。
歯が割れて抜歯に至る歯根破折は、メタルのコアが原因になっていることがほとんどです。
ファイバーでは横揺れに負けてしまうような症例には、上記のような矯正的挺出を第一にお勧めしています。
【治療期間】約3ヶ月
【治療費】約25万円
【一般的なリスクや副作用】部分矯正の治療器具が不快かもしれませんが、抜歯再植よりは安全性の高い治療法です。
要抜歯案件でもインプラント一択ではありません。矯正による挺出も選択肢に入れるべきです。
【治療前】

左上7(第2大臼歯)が歯冠崩壊して残根状態で保存不可能と思われますが、その下に未萌出の8(親知らず)が確認できます。
【治療中】

左上7(第2大臼歯)を抜歯すると、その下の8(親知らず)が目視できました。
左上456(第1小臼歯、第2小臼歯、第1大臼歯)を固定源として、止血後に8(親知らず)にも矯正器具を取り付け、矯正的挺出を試みました。
【治療中】

部分矯正での左上8(親知らず)挺出中です。時間経過しても挺出が起こらず、逆に456(第1種臼歯、第2小臼歯、第1大臼歯)が後ろに倒れてしまうこと(8(親知らず)が骨性に癒着している可能性)もあるので注意が必要です。また挺出が始まったとしても456(第1種臼歯、第2小臼歯、第1大臼歯)が後ろに倒れてしまうこと(アンカー不足の可能性)もあるのでこれも注意が必要です。
【治療後】

無事矯正的挺出が完了しました。期間として約半年。歯の移植術や抜歯再植術に比べてこの方法が優れているのは、8(親知らず)を生活歯として活用できることです。最後方臼歯には一番力が掛かるので、出来れば生活歯として使って行きたいものです。
- 【治療期間】約6か月
- 【治療費】約25万円
- 【一般的なリスクや副作用】長らく埋もれていた親知らずは、骨性の癒着を起こしている可能性があり、挺出できないこともあります。
抜歯後のインプラントが難しい症例でしたが、本来不要である親知らずが有効活用できました。
【治療前】

写真では分かりにくいですが、左下7(第2大臼歯)が垂直的に破折しており保存困難ですが、その後ろに水平埋伏智歯が確認できます。
【治療中】

左下7(第2大臼歯)抜歯後です。矯正を始めるなら、完全に創傷が感知する前(7相当部に骨が出来てしまう前)に矯正を始めるのが適当かと思われます。
【治療中】

挺出とアップライト(後ろに起こすこと)を同時にもしくは交互に行っているところです。
噛み合わせの関係もあって挺出し過ぎているのもあり、同時に圧下もしなければいけなくなりました。
相当な力が必要なため、アンカーは反対側の4番(第1小臼歯)まで伸ばしてあります。
【治療中】

ワイヤーだけの圧下が困難と判断し、骨の内側と外側に一時的なミニインプラントを埋入し、このインプラントをアンカーに8(親知らず)の圧下と移動を試みているところです。
【治療後】

約2年かかりましたが、ようやく目的の位置まで移動することが出来ました。十分に保定後、ミニインプラントは除去致しました。上顎と違って、下顎の8番(親知らず)の部分的矯正は、このケースのようにかなり大変な場合もあります。
しかし、生活歯として使っていけるという圧倒的メリットもあるため、治療期間を除いては、抜歯再植よりもメリットが多い治療法だと思われます。
- 【治療期間】約2年
- 【治療費】約30万円
- 【一般的なリスクや副作用】歯根尖で3cm以上動かす治療なので、時間がかかりました。複雑な矯正器具を付け替えていくので、治療中の咀嚼時等に不快感はあるかと思います。
時間はかかりますが、満足度の高い治療かと思います。