【治療前】
右上3番(犬歯)がグラグラするとのことで来院された症例。
歯頸部のところでファイバーが折れており、また残根にヒビが確認できました。
矯正的な挺出も考えましたが、根尖病巣も気になります。
【治療中】
幸い残根にカリエス等が無かったため、強度十分と判断し、抜歯・挺出・再植を試みました。
なお抜歯時に根尖病巣も除去致しました。抜歯再植術は初期固定が何より大切です。「絶対ここで噛まないで下さい」
「噛んで脱落したら抜歯になります」とくれぐれも念を押させて頂きました。
【治療後】
無事に生着しましたので、ファイバーコアで築造し、しばらく仮歯で様子を見た後、最終補綴物に移行しました。
根尖病巣もなくなって、一石二鳥でした。
外科的挺出は矯正的挺出に比べて、圧倒的に安価でスピーディに治癒しますが、初期固定が外れて結果抜歯になってしまったり、抜歯途中に残根が割れてしまってそのまま抜歯になる可能性もゼロではなく、適応症例かどうかの見極めが肝心です。
【治療期間】補綴完了まで約5ヶ月 【治療費】抜歯再植は保険治療でできるので、トータルで数千円です。
【一般的なリスクや副作用】抜歯中の歯の破折、および初期固定が外れてしまって脱落する恐れがあります。
患者さまも初期固定の重要性をよく分かっておられて、終始問題なくスムースに治療を終えることができました。