【治療前】
左下5番(第2小臼歯)がコアごと脱離してきました。カリエス除去したところ、後ろの方はほぼ骨と同じ高さのレベルの残根になっていました。無理やりメタルコアなどで補綴を試みると、慢性的な歯肉縁性を起こすだけでなく、近い将来歯根破折で抜歯になることが予想されます。
【治療中】
後ろに歯がないためと、咬合干渉があるため、ワイヤーの設置が難しい症例でしたが、残根にフックを前方から伸ばしたリングを通して、2本前に設置したボタンまで矯正ゴムで挺出を試みました。
【治療後】
ほぼ矯正的挺出終了時です。歯の後ろの部分も骨より5mm出ていることが分かります。
これで、ファイバーを用いたコアを築造しても、横揺れにも強い被せ物を入れることが出来ます。
後方の67(第1大臼歯、第2大臼歯)が欠損しているため、もし部分入れ歯を入れるにしても、この5番(第2小臼歯)には大きな力が掛かることになります。
なおさらに適切な補綴物を入れておくべきかと思われます。
- 【治療期間】矯正的挺出に関しては約2ヶ月、その後クラウン装着までトータルで約4ヶ月です。
- 【治療費】矯正治療費が12万円ほど。その後のコア・クラウンで13万円ほどです。
- 【一般的なリスクや副作用】歯が骨に癒着していて動かない可能性もありましたが、無事挺出させることが出来ました。
現在の最後方臼歯ということもあり、かなりの咬合力がかかる歯です。無理やりコア築造からクラウンを装着となると、その後の歯根破折が懸念されます。矯正的挺出により適切な歯冠長を得ることで、長期予後を望めるクラウンを装着することが出来ました。